スーパーで見かけた人

スーパーという場所は意外に人間模様が見える場所だ。
先日のこと。
イカのトマトスパゲッティを作ったのだが、そのイカを飼った時の話。


原則赤字家計の我が家はエコ料理で節約料理を何十年と続けてきた。
特売、値引きには敏感。
鮮魚売り場で特売品のイカが目に留まった。
パックになっていなくて、敷き詰めた氷の上にザル盛での販売で、
鮮魚売り場のパートの人に声をかけて袋に入れて値段を張ってもらう
必要があった。

ところが、先客があり、女性同士で何やら話がはずんでいる。
少し様子を見て立っていたが、その客は買い物籠すら持っていない。
どうも世間話をしに来ただけに見受けられた。
テンション上がって喋り続け、周囲は見えなくなっている。
パートの女性も相槌に忙しくて周囲は見えなくなっている。

自分は「これください」の一言が言い出せぬままその場を離れた。
他の買い物をしてやっぱりイカが欲しいと思い直し、鮮魚売り場に戻ると
驚くことに、まだまだおしゃべりは続いていた。

そこへ別の店員がパックにされたものを品出しに出て来た。
その人に「あのイカ、いただけますか？」と声をかけると、
担当以外は手を出せないらしく、おしゃべりを遮って声をかけてくれた。
女性客はそれでもその場を離れず、待ちの体制。
パートの女性はというと、平然とこう言ってのけた。
「どれにしますか？一皿ずつ違うのでご自分で選んでください」

……そんなものか。

そのパートの女性はそんなふうに仕事をするのか。
それでお金をいただくのか。
その客はそんなにまでして自分の寂しさを紛らわしたいのか。
なぜ店の人と営業妨害になりそうなほど話さねばならぬのかに
目を向けないのか。

そこの責任者が自分だったらこんなふうにはさせないだろう。
両方にケアが必要。…寂しい世の中だなと感じた。